Archive for 2013/02/10

insmod と ActivateDevice()

今回は、WEC/WinCE の、カーネルモジュールを動的にロード/アンロードする方法について述べます。Linux を御存知の方であれば、insmod や modprobe、rmmod に相当するものだといえば分かるでしょう。

■デバイスドライバの動的ロードとアンロード
Linux の insmod コマンドに相当するコマンドプログラムは、WEC/WinCE には存在しませんが、同様のことを実現可能な API が提供されています。それが、ActivateDevice[Ex]() です。

 ActivateDevice (Windows Embedded Compact 7)
 http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ee484864.aspx

 ActivateDeviceEx (Windows Embedded Compact 7)
 http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ee484469.aspx

これらの API を使ってデバイスドライバをロードする手順は、次の通りです:

1.) ロードするデバイスドライバを DeviceManager に登録するための、レジストリ項目を設定する。

2.) ActivateDevice[Ex]() を呼び出す。

デバイスドライバを使い終え、必要なくなったら、DeactivateDevice() を呼び出します。これで、カーネル内にロードされていたデバイスドライバの DLL がアンロードされます。

上の手順を insmod コマンドの場合と比べると、レジストリ設定が必要なぶん手順が一つ多いですが、十分シンプルだと言えるでしょう。レジストリに設定する項目は、そのドライバ用のサブキー配下の ‘Dll’ と ‘Prefix’ だけです。以下は、’MyDriver’ という名前で、デバイスファイル名に使われる3文字プレフィクスが ‘MYD’ というドライバの例です:


[HKEY_LOCAL_MACHINE\Drivers\AddOn\MyDriver]
   "Dll"="MyDriver.dll"
   "Prefix"="MYD"

上の例では、レジストリキー HKEY_LOCAL_MACHINE\Drivers の下に、動的ロード対象の意味で ‘AddOn’ というサブキーを割り当て、その下に、ドライバ用のサブキー ‘MyDriver’ を設定しています。

■LoadKernelLibrary()
ところで、Linux の insmod コマンドは、カーネルのローダブルモジュールをロードすることができ、対象はデバイスドライバに限定されていません。一方、WEC/WinCE の ActivateDevice[Ex]() は、DeviceManager が管理するデバイスドライバに対象が限定されています。

実は、WEC/WinCE にも、ローダブルモジュール(DLL)をカーネルにロードさせる API があります。LoadKernelLibrary というのが、その関数です。ただし、以下のリファレンスページで説明されているように、この API は、カーネルのログ機能を司る CeLog.dll と、カーネルデバッガの DLL をロードする用途に限定されています。実際には、それ以外の DLL もロードは可能だと思いますが、推奨はされないと考えて下さい。

 LoadKernelLibrary (Windows Embedded Compact 7)
 http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ee478202.aspx

WEC/WinCE カーネルのログ機能と、ログデータの解析ツール(Kernel Tracker)については、2012/08/16 に書いたエントリ(「CeLogFlush.exe と Kernel Tracker」)で紹介しました。このエントリで、ログ機能を有効にしていないデバイスに対しても、一時的にログ機能を有効にできると書きました。CeLogFlush.exe は、LoadKernelLibrary() を呼び出すことにより、カーネルに CeLog.dll をロードさせるのです。

■動的ロードについて、もう少し
DLL をプロセスにロードする API として、LoadLibrary() がありますが、カーネル内部でも、デバイスドライバをロードする際に LoadLibrary() を呼び出す場合があります。これについては、ActivateDeviceEx() のリファレンスで説明されています。

通常は、ドライバのロードには LoadDriver() という関数が使われるのですが、ロードするドライバに対して ‘Flags’ というレジストリ項目が設定されていて、その値が 0×2 ビット(DEVFLAGS_LOADLIBRARY)を含んでいる場合は、LoadLibrary() が使われます。LoadLibrary() と LoadDriver() の違いは、ロード対象の DLL に対してデマンドページングを行うかどうかです。LoadDriver() は、ロードする DLL をデマンドページングの対象外とします。

WEC/WinCE カーネルのデマンドページングについては、リファレンスの次のページで説明されています。

 Demand Paging Considerations (Windows Embedded CE 6.0)
 http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ee482784(v=winembedded.60).aspx

時間制約の厳しいデバイスドライバの場合は、LoadDriver() によりデマンドページング無しでロードします。これが通常動作です。一方、サイズが大きく、かつ、時間制約も厳しくないドライバの場合には、LoadLibrary() を使うことにより、デマンドページング有りでロードすれば、メモリ使用量を抑えることが可能というわけです。

デバイスドライバにおいて、通常動作ではデマンドページング無しでロードするのは、リアルタイム性を確保するための仕組みです。WinCE 6.0 のリファレンスには、上のページを含む、“Real-Time Performance” という節があります。興味のある方は、ご覧になってみて下さい。

WEC 7 のリファレンスには、デマンドページングについて述べたページは見当たりませんが、割り込み応答動作のタイミングを計測するツール(ILTiming.exe)の説明などが載っています。こちらも、参考になるでしょう:

 ILTiming.exe Real-Time Measurement Tool (Windows Embedded Compact 7)
 http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ee483144.aspx

Add comment 2013/02/10 koga


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