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Windows Embedded Compact の現在と今後の(勝手な)予想

今回は、もともと他の媒体に寄稿したものの、そちらでボツになってしまった原稿を載せます。Windows Embedded Compact (WEC) が現在どうなっていて、今後は、どうなるんだろう?という疑問に答える内容だったのですが、WEC の将来に対する僕の個人的な予想を載せるということが、その媒体の性格には合わないとうことでボツになりました。以下で書いている予想は、あくまでも、僕の勝手な予想であり、まったく見当はずれな可能性は大です。現時点で、公開されている情報から予想されることを書いてみました。とはいえ、少なくとも、WEC の現在の状態、特に、最新版の WEC 2013 のライフサイクルについては正確な情報です。

ちょうど、つい先日(2/1)、Rasberry Pi 2 で Windows 10 が動くようになる、との発表が出たばかりで、”Windows on Devices” や Windows Developer Program for IoT に対して、多くの方から関心が寄せられているようです。このあたりの動きに、これからも注目していこうと思います。

(以下、原稿です。)

 Windows CEやWindows Embedded Compactは現在どうなっているのでしょう。
 無くなったりしないのですか?

はじめまして。古賀です。

新年早々、一瞬ぎょっとしましたが、良い質問ですね。Windws CE、現在のブランド名 Windows Embedded Compact (WEC) は、健在です。

一昨年の6月にリリースされた、最新メジャーバージョンの WEC 2013 は、これから8年10ヶ月後の2023年10月までがサポート期間です。ライセンスの停止、つまり搭載製品を出荷可能な期間の終了(EOL)は、これから13年半後の2028年5月です。リリース後5年間のメインストリームサポート期間を見ても、あと3年半残っています。ですから、かなり短めに考えてみても、あと3年半は、安心して新規の製品開発に使えます。そして、13年半後の EOL までは、搭載製品を出荷できるのです。少なくとも、それまでの間は無くなりません。

WEC、および、その他の Windows Embedded ファミリーの製品ライフサイクルについては、次のページに記されています:

 製品ライフサイクルおよびサポート | マイクロソフト
 http://www.microsoft.com/windowsembedded/ja-jp/product-lifecycles.aspx

また、先ほど確認してみたところ、日本国内のライセンス販売代理店4社のうち、次の3社のサイトにも、WEC のライフサイクル期間が掲載されています。

 岡谷エレクトロニクス(株)(「サポート・供給期間一覧」)
 http://www.oec.okaya.co.jp/emb/microsoft-embedded/support

 東京エレクトロンデバイス(株)(「ライセンス供給スケジュール」)
 http://esg.teldevice.co.jp/product/microsoft/schedule.html

 菱洋エレクトロ(株)(「マイクロソフトエンベデッドOS」)
 http://www.ryoyo.co.jp/product/software/software/p56-01/p56-01-11.html

さて。では、10年後どうなのだろうか?ということを聞かれるとしたら、簡単な質問ではありません。今から10年後、WEC 2013 のサポート期間が終わっている2025年、それに続くバージョンがどうなっているか、ということです。僕自身、これまでに幾度か自分に投げかけてきた問いでもあります。どうなるんでしょうね。

僕はマイクロソフト社の人間ではありませんから、今後の製品開発のロードマップについては分かりません。現在得られる情報をもとに、予想してみるのは楽しいことですが、事実に近いものかどうかは神のみぞ知る、です。この原稿を書いている今は、お屠蘇気分が抜け切れておらず、好き勝手な推測を書いてみるのも面白いかな、という気もします。というわけで、ちょっと書いてみます。

・気になる動き
WEC に直接関係していないものの、これから関係するのかも知れない、ちょっと気になる動きが二つ、昨年ありました。一つは、”Windows on Devices”、もう一つは、Windows 10 です。

まず、Windows on Devices ですが、Intel の Galileo ボード(CPU 400MHz、RAM 256MB)で動く Windows 8 のサブセットが提供されており、microSD カードからブートさせることができます。サブセットですから、普通の Windows 8 が動くわけではなく、PC から telnet で接続して遠隔操作したり、ビルドしたプログラムを Visual Studio から転送して実行したりといった、”Arduino” などのマイコンボードと似たような使い方しかできません。実際、Arduino 用の “Wiring” ライブラリなど、Arduino と互換のものも提供されているようです。これは、電子工作とマイコンプログラミングを組み合わせたホビーを楽しむユーザや、そこから発展させて、簡単な組み込み機器を作る人たちに向けて、Windows 8 ベースの OS と、開発環境である Visual Studio を売り込んでみようとしているプロジェクトだと思います。

もし、自分でも Galileo ボードを購入して、この Windows on Devices を使ってみたい、と思った方は、Windows Developer Program for IoT のサイトに開発者登録して、Connect サイトから、Galileo 用の Windows イメージをダウンロードしてみて下さい:
 http://dev.windows.com/en-us/featured/Windows-Developer-Program-for-IoT
 http://ms-iot.github.io/content/
 http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=513083&clcid=0×409

次に、Windows 10 です。Windows 10 のテクニカルプレビューの発表までの間に、”One Windows”、あるいは “One Core” というフレーズを耳にするようになりました。Xbox One や Windows Phone 8.x での、Windows 8 ベースのカーネル採用をさらに推し進め、ゲーム機からスマートフォン、PC やタブレットから、さらにはサーバに至るまで、共通の OS カーネルのコアとアプリケーション実行環境を提供する、という取り組みのようです。Windows Phone 7.x や、その祖先にあたる Windows Mobile では Windows CE カーネルが採用されていましたが、それが “8″ で変わりました。車載用に特化した Windows Embedded Automotive 7 は WEC 7 ですが、これの “8″ 以降の話は、耳にしません。そう。ふと気づけば、Windows CE の系譜の OS は、WEC それ自体だけになっています。今後、どうなっていくんでしょう。

・今後のバージョンアップ
WEC が、今後バージョンアップされるとしても、カーネルの劇的な改良・拡張や大きな機能追加が行われる可能性は、高くないのではないか、と僕は思います。それはたとえば、x64 及び ARMv8 アーキテクチャ対応、つまり 64bit 化や、あるいは、.NET Compact Framework における 2D グラフィクス機能の強化や .NET 4 ないし .NET 5 仕様対応です。これらの対応を行うためには、おそらく、WinCE 5.0 から 6.0 への進化と同じくらいの大規模な設計変更が必要になるでしょう。しかし、Windows CE の系譜の OS が、(最新版では)WEC 以外に存在しない現在、大規模な開発リソースを要する変更を加えることに意義があるかどうか、という問いには、肯定的な回答を出すことが難しいように思うのです。ですから、WEC 2013 以降にバージョンアップが行われるとしても、どちらかといえば、メジャーバージョンアップではなく、マイナーチェンジに留まるのではないかと僕は考えています(※WEC 7 から WEC 2013 への変更も、.NET CF が 3.5 から 3.9 に変わったこと、およびコンパイラの変更; C++11 対応と snap shot boot の導入程度で、大幅な機能強化、というわけではないと言えますし)。

とはいえ、OS 本体には大幅な改良や機能追加が行われないマイナーチェンジであっても、歓迎できます。たとえば、付属の BSP の追加です。昨年11月にリリースされた WEC 2013 のアップデートにおいて、Freescale 社の i.MX6 用 BSP が追加されました。これで、WEC 2013 付属の BSP は、x86 アーキテクチャのプロセッサ用のが二つ、ARM アーキテクチャのプロセッサ用のが二つで、合計四つになりました。一つ増えたと言っても、WEC 7 の七つ(x86 用のが二つと ARM 用のが五つ)に比べると、まだ少ないですから、ARM なプロセッサ用の BSP がもう少し増えると嬉しいところです。中国 Allwinner Technology 社のプロセッサ用の BSP が追加されたりすると、選択肢が増えて面白いかも知れません。

あるいは、他の Windows ファミリとの接続性の強化というところで、Windows 10 で標準搭載されるという AllJoyn 対応が、WEC にも追加されると面白いかも知れません。Windows 10 での AllJoyn 対応については、たとえば、次のページをご覧ください:

 Microsoft contributes to open source project AllJoyn, MS Open Tech Ensures Interoperability
 http://msopentech.com/blog/2014/11/12/msopentech-alljoyn/

現在の WEC では、UPnP を用いた相互接続が可能ですが(※WEC 7 では UPnP AV/DLNA もサポート)、より簡易な動作モデルという点で、僕は AllJoyn に興味を感じています。あるいは、AMQP や MQTT プロトコルを WEC で標準サポートしてくれると、Microsoft Azure の Service Bus との接続が簡単になるでしょう。そのような機能追加によって、いわゆる IoT の分野でも WEC を新規の製品開発に採用しやすくなると、嬉しいところです。

・Windows 10 への不安と期待
さて、10年後、WEC はどうなっているのでしょう?その時には、WEC 2013 のサポート期間は終わっています。WEC を採用した製品開発に携わっている方は、その時までには、WEC 2013 に続く、新規の製品開発に使える OS を必要としていることでしょう。Windows 10 で語られる “One Core” というフレーズを思うと、3年後や4年後に、WEC 2013 のカーネルソースを引き継いでメジャーバージョンアップしたものが出てくるということは、可能性が低いように思います。しかし、Windows Embedded ファミリーにおいて、現在 WEC が占めている位置は、今後も必要とされるのではないでしょうか。より小さいフットプリントで、ハードウェア構成に合わせたカスタマイズも可能な OS。そのニーズがあるのならば、3年後や4年後、WEC 2013 のメインストリームサポート期間が終わる頃までに、そこに対する解が Microsoft 社から提示されることを期待します。”Windows on Devices” は、もしかすると、そのヒントなのかも知れません。

10年後も、新規の製品開発における採用候補として、お客様に Windows Embedded 製品を提示できることを願っています。あ、もちろん、3年先、4年先までは、WEC 2013 を安心して使えるだろうというのは、冒頭で述べた通りですよ。

Add comment 2015/02/05 koga


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